乳がん罹患の多い40-49歳のマンモグラフィ検診(隔年)において、がんを検出できないケースが約30%存在するという偽陰性問題があります。これに対して、マンモグラフィに超音波検査を併用することによる有効性を検証した臨床試験(J-START)が行われています。併用により、要精検率(精密検査を受けるように指示される人の割合)の上昇というデメリットはありましたが、癌発見率は1.5倍、中間期がん(検診間隔の途中で自覚症状が出現して発見されるがん)は半減、乳腺濃度(乳房に占める乳腺の組織の割合)の多寡に関わらず併用効果ありとの結果が得られています。死亡率減少効果の結果確認がまだのため、公的資金を用いた市町村での対策型検診への導入はまだ決まっておりません。
乳房超音波検査とマンモグラフィは相補的な関係が分かっているため、任意型の個人検診では超音波検査を併用 することは良い選択です。
「がん対策基本法」の中には国民の責務として、「国民は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響、がんの原因となるおそれのある感染症等がんに関する正しい知識を持ち、がんの予防に必要な注意を払い、必要に応じ、がん検診を受けるよう努めるほか、がん患者に関する理解を深めるよう努めなければならない。」と記載されています。私たちは、検査の限界を知り、利益と不利益を充分に理解して、自身の健康を守るために検診を受け、さらに自己チェックを続けるなど賢く立ち回ることが大切です。
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