乳がんの確定診断が得られた場合、大きな不安に駆られることかと思います。どうするのがいいのでしょうか? 一刻も早く治療を開始したい気持ちになりますが、あわてず冷静になって状況を判断した上で、治療に向けての時間の流れに乗ることが大切と考えます。
乳がん初期治療の基本は、根治を目指すこと、しっかりとしたエビデンスのある全身療法(薬物療法)と局所療法(手術、放射線)を組み合わせて行うことです。がんと向き合うためには敵の情報を知って、一番いい作戦を立ててやっつけることが必要です。医学も日々進歩していて治療成績が良くなっている一方で、内容が複雑化しているのが実態です。その内容を決めるにあたって、がんの程度(サイズや転移の有無)、がんの性質(ホルモンレセプターやHER2など)、遺伝的因子の有無(HBOC)、乳房内での癌の拡がり診断、乳房再建の選択、通院可能な放射線治療施設、本人の意向などが必要な情報となります。
情報が揃うには、どうしても週単位レベルでの時間が必要になってしまいます。急にがんが進行することは考えにくいので、むしろその時間を利用して、治療の場の選択、仕事の継続の手配、医療費の社会保障の手配、家庭内での役割分担を話し合うなどをして、万全の体制で治療を開始されるのがよろしいかと思います。
充分に納得した上で、「より良く治す」ことを前提に治療に望むことが大切です。
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