また一つ治療の選択肢が増える朗報です。国内で2剤目となる抗TROP2抗体薬物複合体 (ADC) のダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd、 商品名ダトロウェイ®) が、2024年12月27日に製造販売承認されました。2ヶ月程度目安で薬価収載され使用できるようになる見込みです。
乳がん細胞の90%以上に発現しているヒト栄養膜細胞表面抗原2(Trop-2)を標的とする 抗体(ダトポタマブ Dato)にリンカーを介してデルクステカン(トポイソメラーゼI阻害剤 DXd)という抗がん剤を結合させた抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate: ADC)です 。1つの抗体に約4個の抗がん剤が結合しています。Trop-2が発現したがん細胞にくっついて、ピンポイントにがんを攻撃する仕組みです。
効能・効果としては「化学療法歴のあるHR陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌」で、2024年11月から使用できるようになった1剤目のサシツズマブ ゴビテカン (SG、 商品名トロデルビ®)は 「HR陰性 HER2陰性」 での適応となっています。今回の承認は、 HR陽性かつHER2低発現または陰性で、 化学療法による前治療歴のある手術不能または再発乳癌を対象に、 2次/3次治療でのダトロウェイ群と化学療法群を比較した第III相国際共同無作為化比較試験(TROPION-Breast01試験)で無増悪生存期間 (PFS)の有意な改善が得られたことによります。
用法・用量は、1回6mg/kg を3週間間隔で点滴静注します。副作用は、骨髄抑制、間質性肺炎 角膜炎 口内炎などがあります。詳しい薬剤情報、適正使用ガイドラインは今後整備されることになります。
