生活の質(QOL)を考慮してがんの治療を行うことは、治療効果の追求と共に非常に大切です。
新規に開発された免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬などは一般に高額であり、さらに治療効果が良好なため治療期間が長期化することもあり、本人・家族にとって大きな経済的負担となってきている現状があります。このような負担のことをがん治療に伴う経済毒性といいます。吐き気、脱毛、疲労感、下痢、しびれあるいは白血球減少や肝障害などなどの身体的毒性と同レベルに考える必要があります。
経済毒性には、治療費での支出の増加、休業などによる収入の減少、将来への不安があります。治療効果はあって身体的毒性も少ないが、経済毒性のために生活の質が悪くなったり、治療断念せざるを得ない状況を生み出さないようにしなければなりません。
明快な解決策は難しいのですが、・仕事を継続する手立てを社会保険労務士や上司と相談する・高額療養費制度の自己負担限度額の認定制度を活用する・勤務先の福利厚生制度を確認する・傷病手当金などの公的保険制度を利用する・病院のピアサポートや患者支援相談窓口などを活用する・あらかじめ民間の良質ながん保険に加入しておく・検診をしっかりやっておくなど、打てる対策はあります。
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