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お知らせ

乳管内乳頭腫(Intraductal Papilloma: IDP)って?

乳管内乳頭腫は、乳管内で乳管壁から伸びる血管結合織を茎として乳管上皮細胞と筋上皮細胞が増生して乳頭状構造を形成する良性腫瘍です。異常乳頭分泌の原因の一つとなる比較的頻度の高い病変です。

乳頭近くの太い乳管から発生する中枢型と終末乳管近くの末梢の乳管から発生する末梢型があり、また孤立性と多発性のものがあります。中枢型、孤立性の典型的なケースの超音波画像では、乳頭近くの拡張した乳管の中にマッシュルーム様の形態でエコーレベルが高い充実成分として認められます。カラードプラでは壁付着部から流入する血流シグナルを確認できます。

診断は、画像診断と細胞診あるいは針生検を総合して行います。組織学的に診断する上では、樹枝状の繊維血管性結合組織を茎として筋上皮細胞と乳管上皮細胞が二相性を有して増生していることを確認します。この上皮成分にはさまざまな変化がみられ、特に末梢型では乳管過形成、異型乳管過形成、非浸潤癌を付随することがあります。鑑別しなくてはいけないものに、papillary DCIS、spindle DCIS、充実乳頭癌、乳管内乳頭癌、被包性乳頭癌などがあって、さらに血管茎の梗塞などの所見が加わるとより複雑化して、病理の先生を悩ませます。

病理検査及び臨床所見で、乳管内乳頭腫に矛盾せず悪性の証拠がなければ、基本的には経過観察の方針とします。サイズ変化 内部エコー変化 血流変化 硬度変化などを慎重に経過観察します。細胞診などによる機械的な血管茎損傷での血流障害で一時的に縮小することもあります。経過の中で癌が疑わしい変化を認めた場合には再度の針生検などを検討します。臨床的に分泌物が持続して日常生活に支障がある場合や病理検査で癌が否定しきれない場合には摘出術を検討します。


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