副乳についてのお話です。人間も他の哺乳動物と同じような発生過程を経ます。乳腺は外胚葉と一部中胚葉に由来し、胎児期第6週になると、腋窩から胸壁と腹壁を通って鼠径部に及ぶ左右1対の乳腺堤と呼ばれる隆起線が皮膚に生じ、この線上に9対の乳腺原基が形成されます。そして第9週になると第4番目の1対を残して、他は退縮します。ゾウ、ブタ、ウシ、イヌ、コウモリ、イルカなど動物によって、どこが発達してどこが退縮するか乳房の数と位置はさまざまですが、出生仔数と哺乳姿勢に対応しているとのことです。
出生後も第4番目以外の乳腺原基が萎縮消失せずに残った場合、副乳となります。乳腺、乳頭、乳輪の3つが揃うものからいずれかを欠くものまでさまざまありますが、副乳は約5%の人にみられます。腋窩部や乳房のやや下付近のことが多く、乳腺組織があると張ったり痛くなったりする事が起こり得ます。副乳腺にがんが発生することはは稀です。