パジェット病(Paget's disease)は、乳房における慢性湿疹様皮膚病変を特徴とした悪性腫瘍として、1874年にPaget先生が報告したのが最初です。
乳頭表皮内に腺癌細胞が存在する病態で、豊富で淡明な細胞質を有する多形で大型の腫瘍細胞(パジェット細胞)が、乳管開口部から乳頭、乳輪、乳輪周囲の表皮内に進展していくものです。拡大は1年に3-4ミリ程度と言われています。非浸潤性乳管癌や浸潤性乳癌の合併を評価する必要があります。
症状としては、乳頭乳輪の進展部にびらんあるいは湿疹様の皮膚変化をきたし、かゆみや痛みを伴うこともあります。
臨床的には、乳がんの乳頭皮膚への直接浸潤、乳頭乳輪部の皮膚炎、モントゴメリー腺の炎症などと鑑別が必要となります。パジェット病自体の頻度は少ないのですが、なかなか良くならない乳頭乳輪部のびらんや湿疹の場合には注意することが大切です。
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