抗Trop-2抗体薬物複合体であるサシツズマブ ゴビテカン:sacituzumab govitecan (製品名:トロデルヴィ:Trodelvy) は、少なくとも2レジメン以上の抗がん剤治療を受けたトリプルネガティブ(ホルモン陰性HER2陰性)進行乳癌患者に対して既存治療と比べた臨床試験(ASCENT試験)で有効性が証明されていることから、ギリアド社から2024.1.30に日本での製造販売承認申請をしたと発表されました。
このお薬は、乳がんの90%以上に発現しているヒト栄養膜細胞表面抗原2(Trop-2)を標的とするサシツズマブとイリノテカンの活性代謝物であるSN-38(トポイソメラーゼI阻害薬)を、特許を取得した加水分解性リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体です 。Trop-2が発現したがん細胞に取り込まれると抗腫瘍効果をもつSN-38が遊離され、直接の効果とともにバイスタンダー効果により周辺のがん細胞にも作用して、ピンポイントにがんを攻撃する仕組みです。主な副作用は、骨髄抑制と下痢などです。
アメリカでは既に、トリプルネガティブだけでなく、ホルモン陽性HER2陰性への適応拡大(TROPiCS-02試験)も承認されています。
また一つ治療の武器が増えることになりますので、早く承認・保険収載されて日本でも使用できること待ち望みます。
*抗体薬物複合体については2023.11.21のブログがありますので、そちらもご覧ください。
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