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お知らせ

乳がん薬物治療の進化- サブタイプ別という枠組みを超えて、がん微小環境を標的とする治療設計へ -

  • morishima4
  • 13 分前
  • 読了時間: 2分

乳がんの薬物治療は、ホルモンレセプターとHER2発現の有無によるサブタイプ分類に基づいた治療選択が基本ですが、がん細胞そのものを標的とするだけでなく、がんが生存・増殖する環境も制御する考え方へと移行しつつあります。

がんはがん細胞単独で増殖するのではなく、腫瘍新生血管、免疫抑制細胞、線維芽細胞を主体とする間質、サイトカイン、低酸素状態などから構成される“がん微小環境(tumor microenvironment:TME)”に支えられて進展します。治療抵抗性や免疫回避は、がん細胞の遺伝子変化のみならず、TMEの構造的・免疫学的特性によって規定されるという視点です。この視点の導入により、「現在どのようなTMEにあるか」を評価し、治療の流れを設計する段階へと進化してきています。

細胞周期制御だけでなく免疫感受性を増強 させるCDK4/6阻害薬(アベマシクリブなど)、殺細胞性抗がん剤としてだけでなくがん微小環境を整備し後治療の効果を改善させるハラヴェン(エリブリン)、バイスタンダード効果により構造破壊と免疫応答を誘導させるADC(抗体薬物複合体:エンハーツ、ダトロウェイなど)、抑制されていた免疫応答を解放することで治療効果の持続性を担う免疫チェックポイント阻害薬(ペンブロリズマブなど)、腫瘍抗原と免疫細胞を直接結びつける設計などができる多重抗体製剤(乳がんではまだない)などは、この治療概念を象徴する薬剤群といえます。

今後は、これらの薬剤をどのように組み合わせ、どの順序で用いるかという治療戦略そのものが重要となり、サブタイプ別という枠組みを超えた乳がん薬物治療が主流になっていくと考えられます。


 
 
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